袖口からはブレスレットまでプラチナ製の時計がのぞいていた

昔、知り合いに連絡をもらい、連れ立って人と会いにいった。「いい投資話なんだが、どうもうますぎるし、人も怪しい。ヒロタはそういう人間をたくさん見てきているだろうから、一緒に来てくれ」とのことだった。その知り合いは、ネズミ講まがいのビジネスを考えたり、区議選だか市議選だかに立候補したりと、実に騒がしい男だった。今何をしているのかは知らないが、当時は華やかで、毎日のように怪しい人たちと会っているようだった。

吉祥寺のマクドナルドに出向くと、背の高い紳士が座っていた。 フランク・ミュラー – Wikipediaシャツの袖も適切な長さで、袖口からはブレスレットまでプラチナ製の時計がのぞいていた。買えば500万円はするだろう。なぜわかったかというと、実家の景気が良かったころ、父が似た時計を買おうと考えていたからだ。その後、経営が傾いて沙汰止みになったが、こういう時計があることは記憶に残っていた。

紳士はマクドナルドに呼んだ非礼を詫び、そのワケを話した。「私はマクドナルドのトレイに置く紙の権利を持っているのです。何を載せるかは私が決めるし、黙っていても権利収入が得られる」。知り合いは興奮しながら話を聞いている。筆者も、袖口からのぞくプラチナの時計を見て「彼は本物じゃないか」と思ってしまった。

途中で彼が手洗いに立った。知り合いは契約しそうな勢いだったが、筆者は紳士の靴を見て考えを改めた。彼はオッサンでも選ばない、餃子みたいな形のローファーを履き、しかもカカトが削れていたのである。お金持ちではありえないし、ひょっとして時計も偽物じゃないか。トイレから戻った彼に時計を触らせてもらい、これは詐欺師だと確信した。プラチナとしては軽すぎたのである。屋台でも売ってないような代物だ。結局、契約は取りやめになった。

後に、もうひとり詐欺師に出会った。彼はキャバクラの客引き時代の客で、当時の職業は、たしか闇金だったと思う。曰く、「高級時計を集めてくれたらまとめて海外に売る、マージンは取っていい」とのことだった。

彼は金のフランク ミュラーを着けていたが、吉祥寺のマクドナルドでの経験で学んだ筆者は、時計を触ってから判断しようと考えた。フランクミュラー 時計しかして、持つとやはり軽いし、ベルトの作りもチャチかった。つまりは贋作だったのである。足元を見ると、客として来ていたときはクロコのローファーだったが、そのときは合成皮革のようなローファーで、しかもカカトが大きく削れていた。お金がなくなって、詐欺師になったんじゃないか。事実、お金を持ち逃げしたと、後日人づてに聞いた。この詐欺師と契約していたら、筆者はたぶん、時計の世界に残れなかっただろう。

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